協会の事業

プロジェクト1) 植林を通した日本文化紹介

ATAKUは、創立初期よりアルゼンチン ミシオネス州の実験農場隣接地にパラナ松、アメリカ松の植林を行ってきました。当初は、活動資金確保のための投資という目的で始まった活動ではありますが、後に、植林した樹々が立派に育つにつれ、これを日本とアルゼンチンの文化交流に役立て、また、地球環境保護の一助にすることはできないものだろうかと模索するようになりました。

日本では古来より、鎮守の森など神社仏閣の周囲に植樹をし自然と人間が共生する環境を作る伝統が根付いています。古くから林業が発達し、伐採と植林のバランスをとっていくという文化もあります。

反面、ミシオネス周辺地方では従来、焼畑農業が行われてきました。自然は「消費するもの」という意識をあらため、「自然は皆で守っていくもの」という意識への変換を促すには何をしたらよいのか?それは地域の住民や子供に、植林の文化を知ってもらうことが一番ではないでしょうか?

このたび、ATAKUでは各方面からの助成金を得、「植林を通した日本文化紹介」プロジェクトを発足させました。

森林面積の減少の防止および温暖化は、地球環境問題の最重要課題でもあります。
もちろん、我々の植林だけでは地球規模の問題を直接解決することは不可能ですが、「樹を植える」という文化を地域住民、特に子供たちに教えていくことによって、緑を愛し、育て、守ってゆく心を持ってもらうことが肝心と考えています。

プロジェクトの概要

活動の目的
・植林による土地の保水力を持たせ、周辺地域における農業の発展、農産物の増産を図る
・森林再生によりCO2の削減を図り、地球環境の保全に役立たせる
・長期的には、洪水、土砂災害等の自然災害を未然に防ぐ
・森林再生による野生動物の繁殖を期待しその保全に努力する

活動計内容
・地方自治体、学校、地域住民に対し、自然との共生を大事にする日本の伝統文化について広く広める
・体験植林をしたり体験間伐、体験伐採等のイベントを行い、地域住民との交流を深めつつ自然への愛着を促す
・植林後の樹木の管理作業
・データに基づいた緻密な計画に沿って長期に渡っての森の維持管理
・森林の環境に与える影響を正しく理解し森の環境を守り地域住民との対話、講習会を「森林と環境」のテーマにて開催
・野生動物の保護のため、地域住民との共同研究

プロジェクト2) 「亜熱帯雨林保存センター」構築プロジェクト

ミシオネス州イグアス国立公園とその周辺いったいは、世界でも有数の生態系のひとつで、パラナ密林が広がっており、生物の多様性は熱帯雨林のアマゾンにも匹敵すると言われています。しかしこのパラナ密林も、急激な農牧地としての開墾や大規模ダム建設等の要因により90%以上が消失し、もともとの森林面積のわずか5%程度しか残っていません。
また現在でも、農牧地の無政策な拡大に加え、森林の不法伐採や野生動物の密猟が続いており、この根本には、地域住民の自然資源の価値に対する無理解、つまりは環境保全に対する教育不足という問題が存在します。

このような背景のもと、ATAKUでは2000年より、地元自治体や近隣のガルアペー移住地(コロニア・ルハン)(日系人移住地)と連携しながら、小規模ではありますが年5ヘクタール規模でパラナ松、在来種アメリカ松、ユーカリの植林を継続的に行うとともに、地域住民との環境問題に対するカンファレンスなどを催して参りました。
2009年からはこの活動の規模を広げるとともに、「亜熱帯雨林保全センター」を立ち上げ、このセンターを拠点に、幅広い階層(地域住民、官公庁、学校、議員、政党)を視野に入れつつ地球環境の保全に関する情報・知識の普及、意識改革を促進してゆく活動を計画しています。

活動内容としては、

  1. 専門家による森林の持つ様々な機能の研究
  2. 地球環境保全についての住民・自治体・企業家・学生間でのカンファレンス
  3. 地域住民を対象とした自然保護セミナー
  4. 小中学生を対象とした体験植林や自然と親しむ自然塾勉強会
  5. 官公庁への働きかけ

などを定期的に行い、また、隣接州のコリエンテス州、エントレリオス州などにも活動範囲を広げてゆく予定です。

この活動においてATAKUが何よりも重要視しているのが、立場の異なる人や利害の対立する立場の人が一同に会して平等な立場で意見交換の出来る場の提供です。
必ずしも直接植林をしたり、野生動物と触れ合うなどの行為だけが、環境保全活動ではありません。環境に関わる私たち人間が問題について話し合い、自分の主張を伝えつつも、事実と向かい合い現実的な解決策を模索していくことが必要とされています。そのために、ATAKUの所有する120ヘクタールの土地を地球環境保全の活動に参加する人たち全てに開放し、活動拠点として最大限に機能させていきたいと考えています。